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「MGCクロニクル」 オートマグ(MGC会長・故 神保勉氏追悼@その7)


J.R氏がMGC社・会長・故神保勉氏への追悼記事を

思いつくままにMGCモデルガンの事を徒然と書かれました。

今回は追悼シリーズの7回目、J.R氏の了承を得て転載させていただきます。


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 MGCオートマグを見たのは1976(昭和51)だったと思う。


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 混雑する上野サーヴィスショップに上がる途中の階段(3階にあった)で、降りてくるだいぶ年上の若者が、紙袋から出した鮮やかな箱からオートマグを出し、まるで自慢して見せびらかすかのようにヒラヒラさせていたのを覚えている。うれしくてうれしくて家に帰るまでに我慢できなかったんだろう。

 ただ、M16のときにも書いたが、保守的なわたしはこの光線銃みたいなオートマグにはあまり魅力は感じず、フーンという感じだった。その日も元々の目的だったシュマイザーを買いこんだ。従兄から譲り受けたのがいよいよ錆びだらけになったので、2挺目としてかき集めていたお年玉で買いに来ていたのだ。


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 一応、カウンターの上にあったオートマグのちらしは持ち帰ったものの、特に買うまでは至らなかった。


 そいつが一変したのは、TVコマーシャルのおかげである。

 当時の東京12チャンネルだったと思うが、何の番組だったか忘れたけど、MGCがコマーシャルを流していた。その中で、走ってくるバイク集団の映像と共に「エームジィーシィー ! 」と叫び声が入り、おっと見ていると、いきなりオートマグが出てきた。

 そしてドォォーンというフェイクの銃声の効果音と共に、カットが切り替わってデカいボルトが「ドガシャン」と後退し、いやに太いカートリッジが吐きだされる映像が続いた。またドォォォーンと発火、つづいて「ドガシャン」とボルトが下がる映像。

 わたしはこのボルトが下がって太いカートが飛ぶ映像に「うぉー」と思ってしまった。

「銃口が6センチ上がる !

 そんなナレーションがして、オートマグはガッシャンガッシャンブローバックしていた。

 カッコええやん。

 実に節操ないのである。


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 MGC44マグナムが出て以来、世間はマグナムブームが続いていて、そこへアメリカでも発売したばかり(実際には5,6年経っていて既に最初の会社はつぶれてた)のオートマグがモデルガン化されたという点、実にセンスがある商品選定だと今でも思う。時局をわきまえた商品開発のコンセプトは、やはりMGCが群を抜いて素晴らしかった。



 同級生の石川クンもこのコマーシャルを見て、いたく感じ入ったのか、「オートマグを買う」と言い出した。彼はわたしよりも考え方がスマートで革新的で、わたしがミリタリー志向なのに対してSF志向であり、オートマグのスタイルは気に入っていたのだ。




 さっそくオートマグを買いこんだ石川クンが初めて射つというので遊びに行った。

 現物はプラスティックなのに重たい。ボルトをガシャッと引くと、こいつも亜鉛合金製だ。チャンバーの中も亜鉛合金であり、オートマグはフレームもレシーヴァーも肉厚なのでオートマティックなのにテンプラモデルなんかなあ、と感じた。

 ちらしにも「銃口が6センチ上がる」と書いてあった。

 6センチってどれくらいなんだ。相当ガックーンと跳ね上がるのか。


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 まさかなあ。




 だが、デトネーターのクリアランスを見るために外したみたら、思わず2人は顔を見合わせて笑い転げてしまった。

「ここ、これは・・・ !


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 CVカート対応のデトネーターはそれまでのものと違い、頭の部分が丸くもっこりしていた。

 どういう意味があり、火薬の爆発にどんな効果があるのかわからないが、とにかくデトネーターの先端が膨らんで丸くなっており、股間に毛が生えて頭の中は桃色の想像ばかりしている思春期の高校生にはあまりに刺激が強すぎたのだ。

「ちんちんそのものではないか。」

 エッチの妄想ばかりしている成長途中の高校生には、どう見てもそいつは亀頭か、よく噂に出てくる夜の特殊用具バイブレーターにしか見えなかった。

 箸が転がっても笑い転げる女子高生のごとく、棒と穴を見ればあらぬ卑猥な想像を掻き立てられる高校生は、そんなものをカートの穴に入れて出し入れする瞬間を想っただけで悶絶しそうになった。それ以来、タニコバさんが心血を注いで作った新型デトネーターは、無残にも、ちんぽデトとか亀頭デト、バイブデトなどと身も蓋もない呼び方をされるようになってしまった。


 だが、今日の目的は2人でエッチな妄想をすることではない。

 オートマグを射つことだ。平玉火薬を詰めなきゃ。


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 カートは太い。しかもCVカートリッジと呼ばれていたが、カートにインナーが叩き込まれて固定されていて、底の部分に副燃焼室=ガスプールが作ってあった。

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 デトネーターで叩かれて発火した平玉火薬のガスがいったん底の副燃焼室にたまってから反転して吹き返してくるって感じなんだろうか。



 さっそく平玉火薬を説明書の指示通りに、5粒剥いてから1粒を蓋にしてブッといカートの中へ押し込んだ。トンプソンのカートと同じくらいの太さだが、はるかに長い。

 そいつをこれまた巨大なマガジンに6発詰める。石川クンが、よいしょって感じでボルトを引いて、そろそろとチャンバーへ装填していく。M16のときも書いたが、この当時の装填は必ずそーっとする。決して右手をボルトから離したりしない。送り込んだ瞬間の暴発が怖いからだ。

 実際にはオートマグも小さなボルトブロックがボルトとファイアリングプレートを押さえていて、16と同じように寸止めしてるから暴発はない。


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 MGCオートマグのカットモデル。


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 機関部のアップ。


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 巨大なボルトがレシーヴァーの中に内蔵されている。こいつが勢いよく閉鎖して平玉火薬入りのカートを押し込むと、当然暴発が怖い。


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 ちんぽ型デトネーター(もうやめろ)がカート内の平玉火薬()にぶつかると暴発してしまう。だから、ギリギリで止まらなければならない。


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 オートマグのトリガーはオーソドックスなトリガーバーがシアで連結される。


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 トリガー引けばシアが押されてハンマーが倒れる。


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 だが、設計したタニコバさんはここにファイアリングプレートロックを別パーツで組み込んだ。こいつはファイアリングプレートが閉鎖の際に飛び出さないようにしている。

 ここがうまいところ。


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 トリガーを引くと、シアと共にこいつも下へ落ちてファイアリングプレートのロックを外す。ハンマーが倒れると自由に動くようになったファイアリングプレートは前進してカートのお尻を叩く。


 前回紹介したM16のロックドブリーチフローティングシステムと同じで、閉鎖の際に別パーツでファイアリングプレートを止めて前進しないようにして、完全に暴発を防いでいるのである。だから、あの重いボルトをガッシャンと閉鎖しても、ぜったい暴発しない。

 今考えても、何気ないが実に効果的な天才的メカである。ちらしなどでもあまり宣伝されてないので、ここに気づいている人は少ないと思う。





「射つよ。」

 石川クンが両手でまっすぐオートマグを構えた。

 ズボォーン、ガッスン

 ちょっとこもった銃声がして、見事に重いボルトが下がり、太いカートが吐き出された。

 そして。

 横から見ていたわたしの目には、確かにバレルがビヨンと上へ跳ね上がったように見えた。


 驚くべきことに、1発もジャムすることなく、6発きれいにブローバックした。これは、当時としては驚異的なことだった。マガジンひとつを完璧に射てる。

 次にわたしが射たせてもらったが、確かに発火の瞬間、ガクンと反動らしきものが来て銃口がブレる。

 ズボォーン、ガスン、ズボォーン、ガスン

 これは重たい亜鉛合金のボルトが後方に動くために重心位置が変わってガクンと来るのか、と感じた。

 なーるほど、だ。今までのようにスライドが下がるのでなく、重たいボルトが下がってこの反動らしきものが生まれるのか。

 いろいろ考えつくなあ。

 ブローバックモデルガンは、発火の際にデトネーターが前へ押されるので、少しだけ銃口は下がる。その後でスライドが下がるので銃口は少し上がる。オートマグは、少しだけ銃口が下がった後、重いボルトが後ろへ下がるので、今度はガックンと銃口が上がり、ブレる感じがするのだ。もちろん本物の反動には及ばないが、右手の上でガクガクッとボルトが前後する感じは「反動がある」と感じる要因だ。

 しかし、スタイルもいいし、ガツンと反動も来るし、ブローバックも快調だし、オートマグはいいモデルガンではないか。

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 わたしは、それまで見慣れていなかったオートマグの先進的な未来スタイルが、いきなり身近に感じるようになった。




 そして。

 わたしは突然気が付いた。


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 時代は既に第二次大戦の名残ではなくなっていた。

 新しい時代になっていたのだ。


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 既に、中田商店に代表される昭和40年代の第二次大戦型モデルガンラインナップの時代は終わっていた。


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 昭和50年代、M16といい、ローマン・トルーパーといい、MGCは戦後の新しい世代の銃器類をモデルガン化し始めていたのだ。 


 1975年前後が、モデルガンの世界も一気にモダンスタイルに変革していった分岐点だと思う。この後、MGCM59、イングラムと次々にヒット作を連発していく。いずれも戦後のハンドガンばかりだ。もう第二次大戦型のモデルガンはメインではなくなっていた。


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 その後、MGCオートマグはCP化されたり、ヘヴィウェイトも出て、かなり長生きした。一部にはオートマグばかりを集めるという、超マニアックなファンも生んだ。あの未来的なスタイルは、人の目を惹く独特の魅力がある。




 MGCでアルバイトしてるときにタニコバさんに聞いたが、オートマグの宣伝文句「銃口が6センチ上がる」と言うのは、たまたまだそうだ。

「だって、5センチ上がるって言うより、半端な数字の6センチ上がるって方が、なんとなく本物っぽいでしょ。」

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 「ダーティーハリー4」でハリー・キャラハンが突如オートマグの専用モデルクリント1を引っ下げて登場した影響も長く人気がある原因のひとつだろう。


 わたしも自分で買いこんだオートマグをガンガン射ちまくっていたが、あまりに頻繁に亀頭型デトネーターをつけたり外したりしていたので止めているスクリュウがバカになり、発火するたびにポーンと上へすっ飛ぶようになってしまった。

 それでもわたしはズボーンズボーンと楽しく射ち続けた。MGCオートマグは射ってこそ楽しいモデルガンだった。


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 1977年の第二次モデルガン規制の後、ボルトやチャンバー周りがプラスティックになってしまい、個人的にはオートマグの魅力は消えたと感じている。

 だからSPGマークがついてからのオートマグは知らない。




 実銃はいろいろな原因であまり売れなかったにもかかわらず、メーカーを変えてつい最近もリヴァイヴァル販売されているのでわかるように、オートマグは不思議に人を魅了するようだ。


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 1976年当時、快調な作動でマグナムブームの最先端を引っ張っていき、長い間販売されていたオートマグは、モデルガン界において新しい時代を切り開いたという点で高く評価されるべきと思う。



 タイムリーな商品選定。ちゃんとブローバックする良好な作動性。そして実に巧みな宣伝。それらを総合して考えると、プラ時代のMGCを代表する素晴らしいモデルガンだったのは間違いない。


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by products-zeke | 2025-03-21 10:51 | テーマ:真・MGCクロニクル | Comments(0)

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