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「MGCクロニクル」 M16(MGC会長・故 神保勉氏追悼@その6)

J.R氏がMGC社・会長・故神保勉氏への追悼記事を

思いつくままにMGCモデルガンの事を徒然と書かれました。

今回は追悼シリーズの6回目、J.R氏の了承を得て転載させていただきます。




リクエストにお応えして、もう少しだけ。





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 1973(昭和48)の夏頃のことだった。




 MGCからM16発売の予告は、上野のカウンターのちらしで知った。



 この当時、M16というライフルは、激化していたヴェトナム戦争のおかげでそのシルエットは何となく知っていた。また、友だちが持っていたマテルのマローダーでも知っていたし、「アーマライト」という名前も出回っていたが、正直、名前についてはよくわからなかった。




 漫画で見たのは、従兄が読んでいたビッグコミックの「ゴルゴ13」の第一話「ビッグセイフ作戦」。当時は資料も少なく、キャリングハンドルやフロントサイトポストもよくわからず、適当だ。だいぶ後、遠距離射撃に22口径か、と、生意気盛りになってからはバカにしていたが、少ない情報量のあの時代はしかたない。






 次は「ワイルド7」。




 「爆破105」で「アーマライトは水に浮く」という描写で当時の少年たちを感心させた。





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「そーかー。M16は軽くて水に浮くのか。」





 いやいや、そんなわけない。



 ただ単に、望月三起也がAR7AR15を取り違えただけだ。同じ「アーマライト」という会社名で混同したのだが、この時代の情報量では、これまたしかたない。






 MGC16の宣伝はゴルゴ13がメインだったが、当時の中学生たちの目を奪ったのはゴルゴではない。





 こっちだ。





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 当味、ガンマニア青少年たちに大人気だった「ワイルド7」が掲載された少年キング。




 この号は、珍しく読み切りの短編、と言っても80ページにも及ぶ「第12話 死神を処刑」が掲載されている。連載200回記念の夏休み号だった。





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 表紙を開くと折込のピンナップ。みんなが壁に貼れるようにする、今はもう見ないおまけだ。




 余談だが、右ページ広告のエーダイのV2号はよかったなあ、三つくらい作ったぞ。



 いやいや関係ない。




 大事なのはその裏側なんだわ。






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 M16をフルオートで連射する飛葉の姿。





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 MGCM16の広告だった。




 ひぇー




 みんなブッ跳んだ。



 どちらかというと大人向けの漫画、いや劇画の「ゴルゴ13」が持っていても、ふーんで終わるが、飛葉ちゃんが持ってると少年の心への響き方は全然違う。






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 発売当初のモデルは「M16E1」。なんでこれなんだか、試作品見たのか、フォアストックがゴツゴツしたタイプで、TVニュースで見慣れた三角のフォアストックと違っていた。



 わたしを含めた周囲のモデルガン好きは、再放送してた「コンバット ! 」や「特攻ギャリソンゴリラ」の影響も大きく、時代の趨勢で完全に第二次大戦型の脳みそが出来上がっていた。だから人気ナンバーワンはMGCのシュマイザーだったし、トンプソンだったし、安いステンだった。



 そんな中に突如光線銃のような未来型スタイルの16が登場し、「カッコイー」というやつと、わたしのように「なんかライフルっぽくない」と敬遠するやつと二手に分かれていた。



 しかし、近所に住む同級生の斎藤クンは、16に飛びついた。元々TVで流れるヴェトナム戦争のニュース映像で「アメリカ兵の持ってるライフルがカッコいい」と日頃から言っていたため、それは必然だった。



 彼が買いこんだ週末、さっそく見せてもらいに行った。





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 実物のM16は、予想外にカッコよかった。青黒いガンブルーではなく、灰色のあまり艶のない独特の地肌。ミリタリー仕上げと呼んでいた。



 カートはそれまでのシュマイザーのエキストラロングをさらに長くしたタイプ。



 持ってみると、ズシッと重い。ほんとは重たくちゃまずかったのだが、そのときはまさか実銃よりも重いなんて知らなかった。どこが水に浮くだ。



 キャリングハンドル下のコッキングピースを引き、構えて空射ちしてみると、ガシャンと凄いショックがあった。



「おー。」



 ストックがびよよんと揺れる感触があったが、なんか重たいボルトが全体に動く頑丈そうな雰囲気だ。




 斎藤クンが平玉火薬をちぎり、5,6粒詰めていき、20発をマガジンに込めた。



「いくよ。」



 斎藤クンが言ってから、片付け頬付で構えると。



 ダンガシャン



 見事にブローバックして長い16カートが飛び出した。



 さらに引き金を引くと、その都度ガシャンガシャンとカートが飛んでいく。 



 このとき、わたしは初めて気づいた。



 セミオートかつクローズドボルトのデトネーターブローバックは初めてだということに。



 もちろん、莫大な平玉火薬を使う六研M1カービンエジプト改はあったが、少なくとも庶民的なものでも扱い容易な代物でもない。



 前年に発売されたCMCM1カービンは、ハンマーはロストワックス使うなんて凝ってたのに、動かない動かない。これもエジプトで後撃針化して初めてまともに動くものだった。



 同時期に出たクソ酷最産業のM16にいたっては、動くわけもない。装填排莢を手で行い、壁に飾るモデルだ。



 だから、MGCM16は、「初めてまともに動くクローズドボルトセミオートライフル」という栄誉に値する、当時としては非常に革命的なモデルガンだったと思う。



 斎藤クンが「次、フルオートいきます。」と言ってセレクターをカチッと切り替えた。



 ダッダッダッダッ



 なんと見事に長いカートがつながったようにバラバラと排莢口から跳んでいった。



 わたしは、久しぶりに身が震えるような感動を覚えた。



 セミとフルの切り替え。



 今では当たり前のことだが、当時、これがちゃんとできるライフル型のモデルガンは存在しない。トンプソンはセミフル切り替えられるが、あれは短機関銃だ。



 頬付したライフルでセミとフルの切り替えができるなんて・・・。



「すげぇー!



 大感動した。



 20発射ち終えると、すぐに平玉火薬で汚れたカートをスティールウールでピカピカに磨き、再び平玉火薬を詰めて、今度はわたしが射たせてもらった。



 ダンダンと快調にセミオートでブローバックし、途中でフルに切り替えて一気にダダダダダタッと射ち終えると、もう涙が出そうになった。



 なんてすげぇモデルガンだ。






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 やがて、よく見慣れたA1タイプのストックをつけたモデルが追加発売され、わたしは1974年の正月にお年玉でこいつを買いこんだ。




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 この16が凄いところは、何と言ってもそのメカ。



 「絶対不発がない」



 「絶対暴発がない」



 特に大事なのは「絶対暴発がない」だ。





 当時のブローバックモデルガンは、平玉火薬を一粒ずつ手で剥いてカートの中に入れて、最後に大きめに切り取った平玉火薬をかぶせて押さえとしていた。



 こいつをチャンバー内のデトネーターに「叩きつけて」発火する。インナー構造のカートなんてない。115円の薄いカートだった。



 最初に発売されたシュマイザーは、当然実銃と同様のオープンボルトであり、トリガー引けばコックした重たいボルトが前進して、マガジンのカートをチャンバーに押し込んでカート内の平玉火薬をデトネーターに「叩きつけて」発火。不発も暴発もなく、快調だった。



 しかし、ハンドガンにデトネーターブローバックを応用してクローズドボシションからのセミオートをしようとすると、途端に不調になる。



 チャンバーへ送り込んだ瞬間に暴発してしまうのだ。



 オートの1発目をスライドを引いて装填するとき、わたしくらいの年寄世代は、習慣として必ずそっとスライドを戻す。



「手を離して勢いよくやらないと」と若い世代に笑われても、体に染みついた装填時の平玉火薬の暴発のショックは絶対消えない。






 当時は改造防止のためにセンターを射つ撃針はあまりおおっぴらに使われず、だいたいがファイアリングプレート=薄い鉄板がハンマーに叩かれて前進し、カートリッジ全体を前へ押してデトネーターへぶつけていた。カート全体が発火の瞬間に数ミリ動いてデトネーターに「叩きつけ」られていた。




 今どきのようにセンター叩く撃針がカートのインナーを押して、カートは動かずインナーだけ動くなんておしゃれな構造ではない。この時代はカート全体が動くのである。




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 だから、チャンバーへ送り込んだ瞬間は、カート内の平玉火薬はデトネーターに軽く接触するくらいでないとならない。




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 そこへハンマーを叩きつけてプレートがカート全体を押して発火させるのだから、その瞬間は激しくデトネーターに叩きつけられなければならない。




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 その結果、密閉されたカート内でガスが膨張し、後ろへ下がる。





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 微妙なデトネーターとカート内の関係。






 チャンバーに送り込む瞬間は優しく柔らかく。




 でも、チャンバーに入った後は、ハンマーの打撃で激しく叩きつけられる。




 この両者の絶対的な矛盾が問題だ。送り込んだときは発火してはいけないが、ハンマー落としたらたった数ミリ動いただけで「叩きつけられて」発火しないとならないなんて。



 結果、送り込むときのことを考えてデトネーターとカートの底の平玉火薬の距離を取るようにすると、暴発は起きないが、ハンマーが落ちたときに数ミリ動いただけでは発火しない。不発だ。




 不発を恐れてデトネーターとカートの底の平玉火薬の距離を縮めると、チャンバーへ送り込んだ瞬間に発火してしまう。暴発だ。




 平玉火薬時代のハンドガンセミオートデトネーターブローバックは、常に暴発と不発の狭間で苦しんでいたのである。





 MGCM16も、装填するときの暴発・不発を徹底的に排除しないとM16はうまくいかないと判断。個々の問題の解決に最大限に注力したに違いない。タニコバさんは、ここ=装填時の暴発と撃発時の不発を乗り切るために、もの凄い方法を考えついた。




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「ロックドフローティングブリーチシステム」





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 これ、どういうことかというと、ボルトが閉鎖してもカートを送り込んだ瞬間、実はボルトはシアに抑えられて、完全には前進しないのだ。



 またボルトの後ろには重たい円筒(MGCではこれをハンマーと呼んでいる)があって、ボルトを引くと後方へ下がり、ストックの中まで下がってからそこでシアで止まる。



 シアは、前方のボルトを止めるものと後方の円筒状のものを止めるのと二つあるわけだ。ダブルシアシステムともいえる。




 トリガー引くと、シアが下がってボルトは前進できるようになる。だが、閉鎖したボルトは単にシアが外れただけでそれ以上前進しないから発火はしない。





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 しかし、トリガーを引くと、後方にいる円筒を押さえているシアも同時に下がり、円筒はもの凄い勢いで前進してボルトを叩く。



 円筒に叩かれたボルトはガツンと前進してカートをデトネーターに叩きつけて発火する。





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 ここでブローバックし、カートは排出される。





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 再びボルトは前進してカートを送り込んでシアで止まるが、後方に下がった円筒もシアで止まる。



 なお、この重たい円筒がストック内でバットプレート部に当たるため、MGCでは「後ろへの反動がある」と宣伝していた。ガツンガツンと確かにショックはあった。





 これ。



 冷静にメカを俯瞰すると、なんのことはない、単なるオープンボルトの発火方式なのである。



 フレームとレシーヴァー内で隠されているが、トリガーを引くとこの円筒=MGCでいうハンマーが長い距離を前進してカートを叩く仕組みであり、シュマイザーのボルトが前進するのとおんなじだ。この衝撃に不発はない。




 カートをチャンバーに送り込んで押さえている「ボルト」と呼ばれているパーツは、ほんとに単なるカート押さえにすぎない。しかもカートを送り込んでからも、シアで止められていて、デトネーターには届いていないから暴発もない。



 絶対不発も暴発もないシュマイザーのオープンボルトブローバックを、16のフレーム内に隠して仕掛けたメカなのだ。




 これこそが、快調にセミオートブローバックする理由である。




 装填の瞬間のカートはシアに押さえられたボルトに保持されていて絶対暴発はありえないし、トリガー引けば巨大な重いボルトが疾走する列車のようにレシーヴァー内を前進してカートを叩きつけて不発もない。



 よく考えついたものである。



 後で知ったが、日本が初めて独自開発した64式小銃も、内部はよく似たメカだ。大戦中、いちばん活躍した96式・99式軽機関銃の幻想に捉われて「性能のいい軽機関銃」を目指した結果がフルオート重視の64式小銃の姿であり、前進して撃針叩く撃鉄はまさに軽機関銃のボルトを思わせる。あるいはタニコバさんは、64式のメカを見てひらめいたのだろうか。





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 MGCM16はバカ売れした。当時のMGCのモデルガンはどいつもこいつもバカ売れしたが、長物ではシュマイザー、トンプソン、ステンと共にほんとによく売れていたと思う。売れなかったのはスターリングくらいだ。




 いくらリアルでも全然動かない酷最産業のM16など、軽く撃破していたのは間違いない。





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 1977年のモデルガン第二次規制で、バレルは閉鎖されて外せなくなり、ガスも銃口から抜けなくなり、おまけにアルミになって曲がりやすくなってしまったが、それでも刻印を変えたりしてずいぶん長生きした。






 1980年頃、陰で実際には酷最16を作っていたマルシンが金型を大改修して、リアルメカでちゃんと発火できるM16を発売、一躍16モデルガンの大革命となった。メカが実銃と同じでありながら、プラグファイアで発火できるというところが得点高い。技術の進化が、実銃と同じメカでも快適な発火を可能にしたのだ。




 そこで実は実銃とは似ても似つかないMGC16は「本物と全然違う」「めちゃくちゃなメカ」などとひどい評価を受けるようになり、人気は衰えた。





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 ボルトフォワードアシストの位置に分解用スクリュウをつけたMGC金属16は揶揄の対象にさえなった。






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 「フルメタル・ジャケット」のおかげでその悪名は知れ渡ってしまった。






 そして。




 世の中もプラの時代になり、MGCもプラの16を出した。





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 キャップとCPの時代になり、快調に20連射30連射ブローバックするためにこれもよく売れてヴァリエーションもたくさん発売された。




 それに反して金属16はキャップ対応もCP化されることもなかった。もう金属16の時代は終わっていたのだ。






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 MGキャップが発売された当初の金属M16末期のちらし。まだ「コブラキャップ」と呼んでいるが、アルミカートにキャップをはめ込んでスタンダードとして手動装填排莢する。ブローバックは平玉火薬のままだ。





 こうして1973年から10年ほどでMGCの金属16はその使命を終えた。





 それでも。



 改めて言いたい。



 1973年当時、快調にブローバックするセミオートライフルはMGC16しかなかった。



 後世の目で、実銃と全然違うメカだと批判するのは間違っている。



 ちゃんと動くクローズドセミオートブローバックのモデルガンを作らねば売れなかったあの時代としては、不発も暴発もないメカを搭載するという考え方は正しかったのだ。






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 MGC金属M16は、タニコバさんが経験と知識と技術のすべてをつぎ込み、安全に快調に発火するセミオートブローバックライフルとして初めて登場したエポックメイキングな傑作モデルガンだった。




 そこを忘れてはいけない。







 せっかくだから、318iさんの動画を掲載しておこう。平玉火薬ではないが、雰囲気は変わらない。






 今はShirakawaさんだが、318iというハンドルネームを知ってる人はおぢさん。




 第二弾



 バレルが外れる規制前のタイプだ。ガスは抜ける。



 この人のはどうも平玉のようだ。



 懐かしいオリジナルカートを使っている。


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by products-zeke | 2025-02-16 10:17 | テーマ:真・MGCクロニクル | Comments(0)

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